絵解き曼荼羅 一、アジャセ出生の秘密
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お釈迦さまがつねに説法しておられたギシャク山の近くに、マカダという国がありました。 そこには王舎城という立派なお城があり、王さまと后と王子が仲良く暮らしていました。
ある日、ダイバダッタという悪いお坊さんがアジャセ王子の所にやって来て、こう言いました。
「アジャセ王子さま、あなたは大変立派になられました。そろそろ父上に代わって王様になられてはいかがですか」
賢い王子は最初は相手にしませんでしたが、超能力を使って七変化したり、空を飛んで見せたりするので、王子はすっかりこのダイバダッタのことを信用してしまいました。
ダイバダッタは言います。
「あなたの小指は折れていますね。私がその理由をお教えいたしましょう。それは、あなたの父上であるビンバシャラ王があなたを殺そうとしてできた傷なのです。
王と后には長い間子どもができなかったので、占い師を呼んで占わせたところ、『山中に仙人がいます。三年後にその仙人は寿命が尽きて亡くなります。その生まれ変わりが王子となる
でしょう』と言われました。王と后は大変喜びましたが、年老いた王には三年という月日を待つことができませんでした。王は仙人の所に使いを送って『早く死んでほしい』と頼みまし
たが、断られました。それに腹を立てた王は、仙人を殺してしまったのです。
やがて后は懐妊し、王はまた占い師を呼びました。占い師は『この子は両親に強い恨みを持っています。いずれ王に災いをもたらすでしょう』と告げました。王と后は、泣く泣くお城の
塔の上から王子を産み落としました。しかしその子は、幸いにも小指が折れただけで命は助かりました。
その子こそ、あなた、アジャセ王子なのです。私の言うことが嘘だと思われるのなら、父上に直接聞いてみなされ」
王子は王に問い詰めました。すると王は何も答えません。
「ダイバダッタの言うことは本当だったのか…」
と、アジャセ王子は両親に対して深い憎しみと怒りの気持ちを持つようになりました。
この絵は、家の外ではダイバダッタがアジャセ王子に超能力を見せている場面、家の中ではダイバダッタが王子の出生の秘密を話している場面がそれぞれ描かれています。
このアジャセ王子の物語をきっかけとして、悩み多い私たちが極楽浄土へ往くための説法が始まるのです。
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