絵解き曼荼羅 一、イダイケの苦痛の叫び
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九死に一生を得たイダイケ夫人でしたが、結局ビンバシャラ王と同じく、お城の奥深くに幽閉されてしまいました。イダイケ夫人は嘆き悲しみ、はるか霊鷲山におられるお釈迦さまに向かって礼拝しました。
「お釈迦さま、どうか目連さまと阿難さまを私の所にお遣わしください。そして私をお救い下さいませ」
そう言って泣きながら頭をあげると、目連さまと阿難さまが空からやってこられました。お釈迦さまは、イダイケ夫人の心の叫びを知って、ただちにお二人をお遣わしになったのです。
何ともこの世は無常です。昨日までは一国の后であった身なのに、一日たてば我が子に刀を抜かれ、幽閉されてしまいました。我が身の変わりように嘆き悲しむイダイケ夫人。
「ああ、なんと苦しみ悲しみの絶えない世の中でしょう。こんな世の中はもうたくさんです」
そんなイダイケ夫人の気持ちを表したのが、この「厭苦縁」(苦しみを厭う縁)です。
絵の中央には芭蕉の木が描かれています。芭蕉の葉は大きくて表面は堅いですが、中はもろく破れやすいものです。この世の儚さを表すために、ここに芭蕉が描かれているのです。
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