絵解き曼荼羅 一、母を殺そうとするアジャセ
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王がまだ生きていることを知ったアジャセ王子は、それが母イダイケ夫人のしわざであると知ると、今度はイダイケ夫人の所に怒鳴りこみました。
「母上、あなたは悪人だ。あの悪い王と仲間だからだ。目連と富楼那も悪人だ。怪しい超能力を使って、何日も王を生かしておくとは」
そう言うやいなや、アジャセ王子は剣に手をかけ、イダイケ夫人に切りかかろうとしました。
その時、二人の大臣が前に進み出ました。
「アジャセ王子よ。昔から、王の位を奪うために父を殺害した人はたくさんいます。しかし非道にも母を殺したことなど、いまだかつて聞いたことがありません。今ここで母上を殺せば
、王家の名を汚すことになります。私たちは、この前代未聞のできごとを見るに耐えません。これは人の道に反した行いであり、王たる者のすることではありません」
そう言うと、二人は剣をかまえて王子にせまりました。大臣たちの気迫に押されて、アジャセ王子は我にかえります。そして自らの過ちに気づいて剣を捨てました。
「わかった。お前たちの言うとおりにしよう。しかし母を許すことはできない。王と同様、城の奥深くに閉じ込めて、二度と出られないようにしろ」
アジャセの足下に釜があります。これは地獄の釜です。母を殺そうとした心が地獄なのです。しかし大臣の忠告によって、自分の過ちに気づきました。その反省した心が、釜に極楽の蓮の花を咲かせています。
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