絵解き曼荼羅 三、中の中の往生
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五番目は、中の中の往生の人です。
この絵は、念仏を称えつつ、仏の示された戒をそれなりに保つ人が極楽往生したいと願う時、阿弥陀さま・観音さま・勢至さまが来迎され、念仏する人を蓮華のつぼみに包み入れて極楽へ引き連れていってくださる、という「帰来迎」のお姿が描かれています。
前の「中の上の往生の人」は、仏の定められた基本的な戒を常にしっかり保てる信仰の人でしたが、ここでは、たった一日一夜でも戒を受ける機会を得た人が対象になっています。お寺で授戒や五重相伝を受けて少しでも実行している人は、この中に入ります。
極楽往生を願って念仏する人が一生を終えようとする時、ただちに来迎して下さいます。
「そなたは善き人だ。過去・現在・未来の三世にわたる仏の教えをよくぞ守った。だから迎えに来たのだよ」。
声が聞こえるやいなや、蓮華のつぼみに包まれて極楽に往生します。七日を経て花が咲き、目の前に阿弥陀さまのお声を聞く喜びにひたることができます。そして、長い長い時間を経て、ようやく修行の完成者の位を得るのです。
上品は「大乗の悟り」について説かれていました。中品は「小乗の悟り」といって、自分を中心に仏道に励む人の極楽往生について説かれています。他力と自力が半々の信仰といったらいいでしょうか。これを守るのも、苦労の多い日暮らしの中では、むずかしいことだと思います。
いずれにしても、あくまで念仏を芯に置き、仏の戒めを実践して、少しでも罪を犯さぬ心がまえを忘れてはなりません、ということです。
こういう人を、「中の中の往生の人」と言います。
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